ヴィンテージメガネ

ヴィンテージメガネの魅力

視力矯正用の道具として長い歴史を持つメガネにも、ヴィンテージという概念が存在します。そのどれもがデッドストックとなっており、同じ形・デザインは2つとない1点物か、そのほとんどがすでに失われてしまっています。今回は、ヴィンテージメガネの魅力について紹介します。

一点物が多い

ヴィンテージの定義は諸説ありますが、基本的に1930~1960年代に作られたメガネを指します。メガネにプラスチック素材が使えるようになったのが1930年代であり、これまでよりも手軽に素材を扱えるようになりました。それ以前のメガネは高価な天然素材が使用されていることも多く、貴族から発注を受けてから作り始めるスタイルが主流でもあったため、デザインの幅が効きにくかったのです。

扱いやすいプラスチック素材が使われ始めてからは、大衆向けのメガネが生産されはじめました。そうはいっても、まだ職人が1つずつ手作りすることには変わりありません。1930~1960年代は、職人がもっともデザインを模索した黎明期であり、ユニークなフレームが数多く作られた時期でもあります。その後、産業革命が起こった1960年代からは、大量生産されるようになりました。とはいえ、メガネはファッションで重要なポジションを担っていたのは確かです。今の機能的ですっきりとしたデザインにずいぶんと近づいてきました。それでも、現代の感覚では目の冴えるようなデザインがあることには違いなく、今でもデッドストックの未使用品が市場に出回ることもあります。定義によっては、1960年代以降のメガネもヴィンテージに含めることもあります。

1930年以降のメガネはアンティークメガネと呼ばれていますが、ここでヴィンテージとして紹介している1930~1960年代のものまで含んでアンティークメガネと呼び、大量生産されはじめた時期のメガネからヴィンテージとして扱うこともあります。

いずれにしても、その当時でしか成しえなかったデザインや素材でつくられたメガネには、底知れぬ魅力があります。

現代の技術では再現が難しい

ヴィンテージメガネのもう1つの魅力として、現代では再現が難しいという点です。ヴィンテージメガネは、職人が手間暇をかけて作った1点物です。失われた技術というわけではありませんが、根気のいる作業で作り上げられたメガネが多いのです。

また、大量生産は始まる前に作られたヴィンテージメガネについては、デザインもサイズもバラバラで、1つとして同じデザインのメガネは存在しません。いろいろとフィッティングをしていって、自分の顔にあるメガネを探し出すという楽しさも、ヴィンテージメガネをわざわざ選ぶに足りる魅力ですね。