肉の研究

いずれ培養肉を食べてみたい

世界的に食肉人口が増している中、食肉の生産は環境破壊の主な要因であるとも言われています。2050年には世界人口が100億人に到達すると言われるようになってからは、食肉の需要に対して供給が追い付かなく日がくると言われ、急速に代替肉(クリーンミート)の開発が進みました。今は人工肉に抵抗がある方もいるかもしれません。しかし、時代が進めば、人々はいずれ日常的に人工肉を食べるようになるだろうと言われています。

代替肉の現状

一般流通に耐えうる代替肉と言えば、大豆などの植物性タンパク質から肉のような味・触感を再現しようという、いわばカニカマのような発想が一般的でした。本物のお肉を使っていないのでヴィーガン食を好む人々にも受け入れられ、マーケットはどんどん拡大しています。しかし、食肉を完全に代替肉へ置き換えるのは不可能だとも言われていました。

そんな中で、限りなく肉と言ってもいい代替肉へのチャレンジが始まりました。これまでも培養肉は存在していましたが、「培養液」の存在がネックでした。研究用の培養液を使うので、食用にはできなかったのです。

食用に耐えうる「培養肉」の登場

しかし、すでに食用に耐えうる培養肉を作ることには成功しています。2019年には、日本ハムとインテグリカルチャーが、食べられる培養フォアグラの生産に成功しています。また、2017年から日清食品グループと東京大学が共同研究を始めた前人未到の挑戦は「培養ステーキ肉」の生産でした。目標は、培養肉で「ステーキ」を作ること。ウシの筋細胞を増やしていき、7日間培養すれば約1cmのサイコロステーキのような培養肉となるそうです。

ちなみに、「培養肉」の販売は、すでにシンガポールで承認されています。培養肉のチキンナゲットはすでに市場に出回っており、鶏肉と遜色ない味と触感を実現させているのです。培養液で育つ肉がSFの話だという時代はとっくに過ぎました。今や培養肉は実現可能な代物。代替肉が抱えるもっとも大きな関心事といえば「製造コスト」でしょう。本物の動物を飼育するよりも、培養肉を作るほうがコストがかかるというデメリットはあります。

研究室から生まれる培養肉について、一般消費者の中には抵抗感を示す人々もいます。しかし、食肉の消費状況を考えれば、いずれ培養肉が新たな人工肉としてマーケットに登場する未来も、食卓に並ぶ肉の少なくとも一部が代替肉に置き換えられる未来も、避けることはできないでしょう。個人的には、牛肉の培養肉が市場に出回るのが今から楽しみです。